大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 平成9年(ネ)845号 判決

大阪市〈以下省略〉

第一一三六号事件控訴人・第八四五号事件被控訴人

(以下「第一審原告」という。)

右控訴代理人弁護士

佐井孝和

島尾恵理

吉田実

東京都中央区〈以下省略〉

第八四五号事件控訴人・第一一三六号事件被控訴人

国際証券株式会社

(以下「第一審被告」という。)

右代表者代表取締役

右訴訟代理人弁護士

松下照雄

竹越健二

白石康広

鈴木信一

本杉明義

池田秀雄

主文

一  第一審原告の控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。

1  第一審被告は第一審原告に対し、金二七六八万七七四三円及びこれに対する平成六年七月七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  第一審原告のその余の請求を棄却する。

二  第一審被告の控訴を棄却する。

三  控訴費用は、第一、二審を通じこれを五分し、その二を第一審原告の、その余を第一審被告の各負担とする。

四  この判決の一、1は仮に執行することができる。

事実及び理由

第一申立て

(第一審原告)

一  原判決を次のとおり変更する。

二  原判決事実及び理由第一同旨

三  主文二項同旨

四  訴訟費用は第一、二審とも第一審被告の負担とする。

五  仮執行の宣言

(第一審被告)

一  原判決中第一審被告の敗訴の部分を取り消す。

二  第一審原告の請求及び控訴を棄却する。

三  訴訟費用は第一、二審とも第一審原告の負担とする。

第二事案の概要

次のとおり訂正等するほか、原判決事実及び理由第二記載のとおりであるから、これを引用する。

原判決四ページ八行目「同年」を「平成元年」と、同九行目「別紙一覧表」を「別紙1の一覧表(但し、三枚目を一枚目の前に綴じ直す。)」と、同一〇ページ七行目「かなり」を「三年以上」と、同一一ページ八行目「者」を「もの」と、同一一行目「(三)」を「(二)」と、同一二ページ九行目「(四)」を「(三)」と、同一四ページ二行目「(五)」を「(四)」と、同末行「(六)」を「(五)」と、同一五ページ七行目「最前」を「最善」と、同一六ページ一〇行目「会社が」を「会社の」と、同二五ページ八行目「営業行為して」を「営業行為として」とそれぞれ改める。

第三証拠

原、当審記録中の書証・証人等目録記載のとおりであるから、これを引用する。

第四争点に対する判断

次のとおり付加等するほか、原判決事実及び理由第三の一ないし八に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決二七ページ四行目末尾に「三〇、」を付加し、同五行目「四三」を「四四」と改め、同「四七、」の次に「四九、五〇、五一の1ないし3、」を、同六行目「3、」の次に「五七ないし六二」をそれぞれ付加する。

二  同二八ページ一〇行目「大部分が」を削除し、同一一行目「であったが」を「のほか」と、同二九ページ五行目「乙九、一〇」を「乙一一、一二」とそれぞれ改め、同行の「酷似」の次に「(第一審原告において真正な文書として提出した甲B八の2のそれとも酷似)」を付加し、同三一ページ三行目「なされた」を「開始された」と改める。

三  同九行目末尾に「なお、第一審原告は、昭和六二年一二月には兄のB名義口座での証券取引も開始した。」を付加し、同三三ページ七行目「十分」から同八行目「持たないで、」までを「十分に理解したとは言えないものの、格別に質問をすることもなく、特にワラント取引が危険だとの明確な認識を持たないで、」と改め、同三四ページ七行目「市場がないこと」の次に「(相対取引であること)」を付加し、同一〇行目「また」から同三五ページ五行目までを「にわかに採用することはできない。」と改める。

四  同三六ページ一行目「おらず、」から同三行目までを「おらなかった。」と、同九行目「者」を「もの」とそれぞれ改め、同三七ページ三行目「行わず、」の次に「おおむね」を、同一一行目「Cから、」の前に「第一審原告が権利行使期間満了により権利を失った六銘柄(別紙2参照)についてワラント取引をするまでに、」を、後に「日本証券業協会所定の」をそれぞれ付加し、同三八ページ二行目「一日」を「二日」と改め、同三九ページ一行目「そして、」から同五行目までを削除し、同六行目「ところで、」を「また、その点をさておくとしても、」と改め、同行の「について」の次に「顧客に説明書を交付するとともに」を付加し、同八行目「あること」から同一〇行目「右協会は、」までを「あるが、右協会は、更に」と改め、同一一行目「甲A一六」の次に「、乙五四」を付加する。

五  同四一ページ五行目「比較頻繁」を「Cの勤めのもと、比較的頻繁」と改め、同四三ページ八行目から同四四ページ二行目「なかった。」までを削除し、同三行目「下落し」の次に「(やや反騰したこともあるものの一時的であった。)」を付加する。

六  同末行「一八」の次に「、五三ないし五五」を付加し、同四七ページ一、二行目の「灼く二・五波戦と」を「約二・五パーセント」と、同四八ページ三行目「株価変動制」を「株価変動性」と、同五六ページ一行目「ハイリター」を「ハイリターン」と、同五九ページ五行目「価格」を「購入価格」とそれぞれ改め、同九行目「上回っており、」の次に「また、」を、、同六〇ページ三行目の次に行を改めて次のとおり、それぞれ付加する。

「けだし、勧誘時点で株価が権利行使価格を下回っているような場合(株価が権利行使価格とワラント購入価格の合計額(ワラントコスト)を下回っている場合を含む、以下同様)は、将来株価が相当の率で上昇し、権利行使価格を上回る事態が到来するとのその相当の蓋然性がなければ、当該ワラントに対する投資は無意味であり、投資資金全部を失うおそれが強い。よって、そもそも右のようなワラントを一般投資家に勧誘することは特段の事情でもない限り(本件において特段の事情の主張立証はない。)、不適当であるといわざるをえないからである。

もっとも、第一審被告は、第一審原告が平成元年三月にD名義口座で買付を行った日本油脂ワラントはマイナスパリティであったが、同原告はこの日本油脂ワラントを約一か月後に売り付けて八三万一八〇八円の利益を上げており、その他にも、藤沢薬品、キリンビール、協和発酵等のマイナスパリティのワラントを買い付けて売り付け、利益を獲得しているから、ワラントのパリティがマイナスであるからといって一般的に危険性が高いとはいえないと主張する。そして、平成元年三月から一〇月にかけての右各ワラントの買付、売付により第一審原告が利益を得たことはその通りである(乙四、五、五八、五九)が、右各買付当時右各ワラントがマイナスパリティであったことを認めるに足りる証拠はないのみならず、仮にそうであって、そのようなワラント取引により同原告が利益を得たとしても、それは、後記のように違法と評価される勧誘によって買い付けられたワラントにつき、たまたま、同原告に損害が具体化する以前に売付けがなされた結果、相場変動による差益を取得することができたというにとどまり、そのことから直ちに右各ワラントや本件六銘柄のワラント取引における勧誘方法に問題がなかったということはできない。」

七  同五行目「までもなく」の次に「(第一審原告は、説明義務よりも論理的に先行する適合性原則について判断しないのは判断の遺脱になるというが、適合性原則が説明義務よりは論理的に先行するとはいえないから、右主張は採用の限りではない。)」を付加し、同六一ページ二行目「六八〇万四〇〇〇円」を「五〇一万一三〇二円」と、同三行目「四〇一八万六八七五円」を「四一九七万九五七三円」とそれぞれ改め、同一〇行目「四口」の次に「(昭和六二年一二月からは五口)」を付加し、同六三ページ七、八行目の「二四一一万二一二五円」を「二五一八万七七四三円」と改める。

第五結論

第一審原告の請求は、金二七六八万七七四三円及びこれに対する平成六年七月七日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却し、これと一部異なる原判決を右のとおり変更し、第一審被告の控訴を棄却し、民訴法九五条、九六条、八九条、九二条、一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 福富昌昭 裁判官 古川正孝 裁判官 富川照雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例